第1章:イタリア・ドイツ−−ルネサンスからバロックの素描・版画
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ルネサンス以降のヨーロッパの美術において、素描(イタリア語で「ディセーニョ」[disegno])は、あらゆる芸術の基礎をなす要素として重視された。素描は、本来は絵画・彫刻制作の準備のための補助手段とされていた。
芸術家の初発的な創意を素早く描き出したスケッチ、本画のための構図を創案した構図素描、個々の事物を描き出したモティーフ習作、そして完成作品を作り上げる下図などは、いずれも「完成作」を生み出すためのものであった。
しかし、それとルネサンスにおいて素描は、芸術家の創造行為の格闘の痕跡として、すなわち芸術的創造過程そのものと認識されるようになったのである。 |
1. フランチェスコ・サルヴィアーティ 《目を閉じる女性》 1540年頃 アムステルダム歴史博物館 Salviati, Francesco (de'Rossi) (1510-1563), Woman with the downcast eyes, c.1540, Amsterdams Historisch Museum, bequest C. J. Fodor |
2. フランチェスコ・サルヴィアーティ 《二人のプットーと天蓋、花環》 1525-1550年頃? アムステルダム歴史博物館 Salviati, Francesco (de'Rossi) (1510-1563), Two putti wit a canopy and a garland, c.1525-1550?, Amsterdams Historisch Museum, bequest C. J. Fodor |
3. アンニーバレ・カラッチ 《十字架を運ぶキリスト》 1600年頃 アムステルダム歴史博物館 Carracci, Annibale (1560-1609), Christ bearing the Cross, c.1600, Amsterdams Historisch Museum |
4. ジョヴァンニ・ベネデット・カスティリオーネ 《羊の群れのいる風景》 1632-37年頃 アムステルダム歴史博物館 Castiglione, Giovanni Benedetto, Landscape with a shepherd, sheep and a donkey, c.1632-37, Amsterdams Historisch Museum |
5. ハンス・ブルクマイア 《賢き乙女》 1503/4年頃? アムステルダム歴史博物館 Burgkmair, Hans, the elder (1473-1531), Clever women, c.1503/4?, Amsterdams Historisch Museum |
6. ハンス・ブルクマイア 《愚かな乙女》 1503/4年頃? アムステルダム歴史博物館 Burgkmair, Hans, the elder (1473-1531), Foolish women, c.1503/4?, Amsterdams Historisch Museum |
7. アルブレヒト・デューラー 《聖エウスタキウス》 1501年頃 アムステルダム歴史博物館 Düerer, Albrecht (1471-1528), Saint Eustachius, c.1501, Amsterdams Historisch Museum, bequest C. J. Fodor |