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線の巨匠たち――アムステルダム歴史博物館所蔵 素描・版画展

東京藝術大学大学美術館 展示室1・2
2008年10月11日(金)〜11月24日(祝・月)
月曜日休館〔ただし10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館、10月14日(火)、11月4日(火)は閉館〕

プロローグ:ヨーロッパにおける素描コレクション
Prologue: Drawings Collection in Europe

 素描は多くの場合、芸術家の制作過程で構図やモティーフ習作、あるいは下図として利用されるものであった。このような素描の収集の原点は、中世後期にさかのぼる。当時の芸術家工房では「モデルブック」が作られ、図柄のパターン集として利用されていた。
 ルネサンスにおいては、素描そのものに、制作過程での生成物以上の芸術としての価値が見出され、絵画などと同様のコレクションの対象となった。収集の担い手は、主に芸術家であった。彼らにとって素描は、素描技能の向上のための教本としての役割もあれば、自分の制作活動の創造的な刺激を喚起するものでもあった。すぐれた素描を収集しようとしたのである。
 一方、芸術愛好家による素描収集が本格化したのは、特にオランダにおいては18世紀からであった。彼らは、素描が有する芸術的価値を理解し、収集した。そしてそれを分類・記述してコレクションするという、美術史的関心のもと収集を鑑賞し、愛好したのである。
 アムステルダム歴史博物館所蔵の素描の核となっているのは、19世紀オランダのコレクターであるフォードル(C.J. Fodor, 1801-1860)旧蔵の素描群である。この素描コレクションは、一人のコレクターの趣味に基づいて体系的に収集された17-19世紀に至るまでのオランダの素描であり、それが一括でアムステルダム市に寄贈されたものである。それゆえ、小規模ながら統一性のあるコレクションとして注目されるべきものである。

(1). アブラハム・ブルーマールト 《素描入門》 1740年版
Bloemaert, Abraham(c.1564-1651), Eerste beginselen der Teken-Kunst.., Amsterdam, R. & J. Ottens, (c.1700), edition of 1740
(2). ウィレム・フーレー 《デッサン芸術論》 1697年版
Goeree, Willem(1635-1711), Inleydinge tot de Al-ghemeene Teyken-konst, Middelburg, (1668), edition of 1697
(3). ヤン・ファン・ホイエン 《スケッチブック(複製)》
Goyen, Jan J. van(1596-1656), The Sketchbook (facsimile edition)
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